海域調査(ダイビングポイントマップ制作)事業とは?
■目的
近年、沖縄県のマリンレジャー人口は、県外からの観光客等の大幅な増加に伴い、年々増加の傾向にあります。とりわけダイビングのメッカである沖縄の海域では、若者を中心にスキューバダイビングが急増している反面、ダイビング中の事故が後を絶たないのが現状です。
 このような状況を背景に、ダイビングポイントを中心とした、海底の地形調査・潮流調査・水深調査・海洋性危険生物の調査等の海域調査を実施の上、写真や案内図等を作成して、海域レジャー提供業者やダイバー等海域利用者に対して情報を提供することにより、 海域レジャー提供業者の安全対策に資するとともに利用者の安全確保を図り、もって、マリンレジャーの健全な発展と観光の振興に寄与 することを目的としています。
■内容
沖縄県内には300余のダイビングスポットがあると言われているが、これまでダイビング業者は、観光客等を案内する際には、自らの経験に基づく手作り(手書き等)の地図やダイビング雑誌等の資料を活用しており、正確に測定された案内図作成の要望が多く寄せられました。
 よって、県内で需要の高いダイビングポイントを選定して、地形・潮流・水深・生物等を調査して実物そっくりの模型(鳥瞰図)を作成して写真撮影し、海底の案内図を印刷して、水難事故防止等の安全対策に役立てています。

※この事業は平成7年度より沖縄県公安委員会からの委託で実施しています。
(平成10年度から平成12年度は財団法人日本船舶振興会(日本財団)の補助金の交付を受けて実施)

平成15年度調査作成 : 1箇所
伊計島東側(中頭群与那城町 伊計在)
沖縄県中頭郡与那城町字伊計在のリゾートホテル「ビックタイムリゾート伊計」東側に位置する。
海岸へは、同ホテル駐車場から歩道が設置され途中には潮流の早さなどの注意を喚起するたて看板等が設置されている。
海岸線は、砂と岩が混在する浜で、潮間帯はビーチロックで形成されている。礁池部(リーフ内)はサンゴ砂の海底に生きたサンゴが点在し透明度は良好で水深は1m〜2.5mである。
礁池中央部では強い流れを感じ計測したところ、水面に浮いた潜水士が1分間で17m〜26mの距離を流された。これは、時速に換算すると、1.02kmから1.56kmの流速である。 この流速では熟練した潜水士がフィン、マスク、スノーケルを着けていても流れに逆らって長時間泳ぐことは困難で、離岸流につかまり外洋に流されることが予想される。
水路部分では、流速はより早く、また外洋からの「うねり」リーフ際の「砕波」風、流れによる「風波」などで周囲の視野がさえぎられ、岸にある建物も波で見え隠れし、また水深も急激に深くなるため、漂流者は不安を感じてパニックを起こしたり、方向を見誤ることが予想される。
水路部分を通過した後は、流れは弱まり、リーフ際から100mほど離れれば離岸流はほとんど停止する。水路部分の水深は、1.6m(リーフ内)〜2.5m(水路入り口)〜4.8m(水路部)〜6.5m(水路部)から17.0m(水路出口、底がゴロタ石)〜7.6m(水路沖にある根の最浅部)〜25m(外洋)と変化する。以上からこの海域で遊泳する場合、危険海域に近づかないことを第一とし、ウエットスーツや救命胴衣など浮力のあるものを身につけることを強く勧めたい。
またサーファー等には、下げ潮時に離岸流が強くなることを周知してその前に引き上げることを勧める。また万一の漂流に備えて、レスキューフロート(空気で膨らませ位置を知らせる救急用具)や海面着面剤(チューブ入りで水面をオレンジ色に染める)、防水ケースに入れた携帯電話などを携行することを薦めたい。
外洋での潮流は、上げ潮時は北から南へ、下げ潮時は南から北に流れる。潮時差は、那覇港標準時より+30分程度である。(最寄の泡瀬港および石川港の潮時参照)潮位差は、那覇港とほとんど差は無い。

平成14年度調査作成 : 1箇所
西表島 バラス島西カスミの根ダイビングスポット
沖縄県八重山郡竹富町上原の北方に位置する。
ボートからエントリー(入水)すると、最浅部がー10mほどのサンゴと岩で出来た4本の根が北西から南東方向に伸びている。
根の周囲はー25m〜−30mほどで、底質はバラス(死サンゴ片)である。
根の周辺には、カスミチョウチョウウオやクマササハナムロ(グルクン)の群れが多く、根の付近にはアカネハナゴイやキンギョハナダイが数多く見られる。
数は少ないがアデヤッコが住んでいる根もある。大型魚はナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)・イソマグロ・ネムリブカなどを調査中に確認した。
潮流は、上げ潮時は東から西へ、下げ潮時は西から東に流れる。流速は、最大0.2〜0.3ノットである。
潮時差は、石垣港標準時より+20分程度、那覇港標準時より+30分程度である。(最寄の祖納港の潮時参照)
潮位差は、石垣港とほとんど差は無い。(那覇港を1.00とした場合、石垣港は0.77、祖納港は0.78である。)
※南方向は西表島、北方向は鳩間島のリーフに遮蔽され、東から南の風では平穏な海面だが、北風が強く吹き続けると北西方向からうねりが入りポイント上に波が立ち、時に流速が早くなることがあるので注意が必要である。
※産卵期のゴマモンガラ(カワハギの一種)は巣・卵を守るためダイバーに噛み付く事があるので注意が必要である。

平成12年度調査作成 : 4箇所
国頭村 辺戸岬ドームダイビングスポット
国頭村の宜名真漁港の北側に位置する。
ボートからエントリーし、壁に沿って潜降して行くと、水深約−15mの所に幅15m位のエアドームへの入り口がある。
入り口から奥の方へ20m進んでいくと大きな柱があり、柱に向かって左側に2本、右側に1本、ドームへ生息しており、外側に出るとツムブリやイソマグロ等回遊魚もいることがある。
トンネル内は真っ暗なので水中ライト、ガイドロープ、マークライト等が必要である。
又、雨が降った後は雨水が入ってきて水が濁り視界が悪いのでダイビングは避けたほうがよい。
潮流はがけの壁に祖ってあげ潮時に北方向、下げ潮時に南方向の流れがあり、内側では下げ潮時と壁に波がぶつかることでドームから入り口にかけて流れがある。北又は西よりの風による内は注意が必要である。
トンネル内部では、ハタンポ、ハナミノカサゴ、カノコイセエビが見られる。
スロープ部では、カスミチョウチョウウオ、サザナミヤッコ、クマノミが見られる。
ドロップオフ部では、ロウニンアジ、イソマグロ、ツムブリ、タカサゴが見られる。
砂・砂礫部ではハタタテハゼが見られる。
慶良間諸島 お花畑ダイビングスポット
座間味島と嘉比島の間に位置する。
ボートからエントリーすると、水深約−8mの棚にテーブルサンゴが一面に広がっている。
その周辺にはスズメダイやチョウチョウウオ等が生息している。
水深約−23mの所に小さなネガあり根の周りには広範囲にウミトサカが群生していて、ハゼやエビ等が棲んでいる。
波の影響はあまり受けないが、上げ潮、下げ潮時は流れが急なのでドリフトダイビングが主流であり、最干潮の潮止まりをねらってダイビングをしたほうがよい。那覇港を基準として潮止まりの時間は多少遅れる。
スロープ部(緩斜面)では、ロクセンスズメダイ、トゲチョウチョウウオ、オトメベラが見られる。
スロープ部(急斜面)では、サザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイ、ツユベラが見られる。
砂・砂礫部では、ハナハゼ、テンクロスジギンポが見られる。
ウミトサカ群生地ではハタタテハゼ、クロユリハゼ、ニシキアナゴ、ウミトサカが見られる。
宮古郡伊良部町 スネークホールダイビングスポット
伊良部島白鳥崎の東側に位置する。
ボートからエントリーし崖下の壁の方へ潜降すると、壁に直径約8mのエアドームへの入り口がある。
トンネルの長さは5m位と短くハタンポやエビ等が棲んでいる。ドーム内は波の上下の圧力により霧が発生している。
又、内部は暗く、水中ライトが必要であり、波の高い日はドームから入り口にかけて強い流れがあり入らないほうがよい。
ドームから沖へ向かうと、水深約−10m位の床とにある大きな根にアカネハナゴイやキンギョハナダイ等が群れている。
がけの下にはキビナゴが群れていることがあり、又、カツオ等の回遊魚が姿を現すこともある。
潮流は上げ潮時に東方向、下げ潮時に西方向へ流れがあり、北から東よりの風による波には注意が必要である。
トンネル内部では、ハタンポ、カノコイセエビが見られる。
スロープ部では、アカククリ、ヘラヤダラ、タカサゴ、カツオ、カスミアジが見られる。
砂・砂礫部では、ミヤケテグリ、ハタタテハゼが見られる。
ハナダイの根では、アカネハナゴイ、キンギョハナダイ、オニカサゴ、ウメイロモドキが見られる。

石垣市大崎 大崎ハナゴイリーフダイビングスポット
石垣市大崎の北側に位置する。
ボートからエントリーすると、エダサンゴやユビエダハマサンゴが育っているネガ点在しており、アカネハナゴイやキンギョハナダイ等が生息している。
コブシメの繁殖期になると根の周辺にコブシメが集まって来る。
水深約−25mの砂地にはヤシャハゼやカーデンイール等も見ることが出来る。
潮流は上げ潮時に北方向、下げ潮時で南方向の流れがある。北又は西よりの風による波には注意が必要である。
フラット部では、ユビエダハマサンゴ、クマノミ、コブシメが見られる。
スロープ部(緩斜面)アケネハナゴイ、キンギョハナダイ、ハナヒゲウツボが見られる。
スロープ部(急斜面)では、タカサゴ、ウコンハネガイが見られる。
砂・砂礫部では、ガーデンイール、ヤシャハゼが見られる。
ダイビングスポットほぼ中央の根では、ツノダシ、チョウチョウウオが見られる。


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